ふと脳裏にヘナタトゥーを使い迫った時にライザール様を怒らせてしまったことが浮かぶ。

 

 

無理もないわ

 

 

それにヘナタトゥーを使わなくてよかったと今なら実感してしまう。不思議なほどあの夜のライザール様は優しかったもの。慣れた女ではないと幻滅されるかと思ったけど、むしろ私の初心な反応を喜ばれたことも思い出して動揺してしまう。

 

 

ともかくこれは安易に使っていいものではないことはすでに理解していたから、未練もなく小箱を女の手に押し返した。本当は取り上げた方がいいのかもしれないけれど、騒がれてもめんどうだった。

 

 

「それは私にはもう必要ないわ。貴女もそんなものに頼らないで」

 

 

それだけはどうしても伝えたかった。今ではなぜライザール様が禁じられたのか分かる気がする。欲望に抗えず流されてしまうものなんてけっして扱ってはいけないものだわ。