忠告に気を悪くしたのか腕輪が手に入らないとわかった途端、女は不機嫌そうに去っていった。

 

 

怒らせてしまったみたい。ため息をついた時、背後からかすかな笑い声が聞こえた。驚いて振り向くとそこにはどこか見覚えのある女が立っていた。

 

 

驚いたわ‥私の背後に立つなんて気配を感じなかったけど一体何者かしら?でも確かに彼女に会ったことある・・・まさか!

 

 

「やあ・・。今宵王に呼ばれたんだろう?君がどうしてるかなって思ってさ」

 

 

「・・そうだったの、それはありがとう・・・ダーラ」

 

 

名を呼ぶとダーラはシニカルな笑みを浮かべた。確信はあったけど驚いたわ。まさか本当に彼女だなんて・・今のダーラとは雰囲気もしゃべり方すら違う。気安い口調からも「私」とは親しい間柄のようだ。

 

 

「なあ、どうするんだい?・・王子様からの頂き物だろ・・それ」

 

 

――え?

 

 

ダーラの目線は腕輪に注がれていた。この腕輪がライザール王子から送られたものだったなんて・・

 

 

ここは王のハレムなのに、王子とも親しい間柄であることは許されないことだ。それに、ライザール様が贈り物をされるほど心に秘めた女性がいたことは少なからずショックだった。

 

 

「噂話に明け暮れている宮殿の女達の間では君が王子から求愛されたとの噂で持ちきりだからね。しかも今度は王から呼ばれたんだろう?なかなか大変だな君も・・どうするんだい?」

 

 

これはあれだわ・・ハサン様のお話しにあった王と宮女と王子の三角関係だわ。あのお話しで結末は語られなかったからどうなったのかはわからなかった。

 

 

それでもこのまま進むとまずい事態になるのはわかる。