確かめてみる?

 

 

真相を知ってしまえばもう後戻りはできないだろう。最悪の場合ライザール様から命を狙われる危険すらあった。私がいない方が彼は安らげるのかもしれないと思えばより悲しみが増す。

 

 

それでも確かめる価値はある?

 

 

→真相を確かめたい!

 

 

その考えを諦めることはできそうになかった。

 

 

翌日、覚悟を決めると旧ハレムの一角にあるハサン様の住処を訪れた。

 

 

いらっしゃるといいけど・・心配をよそにそこには相変わらずといった様子のハサン様が寛がれていた。水煙草を楽しまれていたらしい・・その姿はどこかライザール様に似ていた。

 

 

なぜ今まで気づかなかったのだろう?思えばこの方は年頃も体格も風貌もどこかライザール様に似ていた。

 

 

少なくとも私とレイラ様よりは似ているだろう。だからこそ影武者になれたのかもしれない。

 

 

そうなると王の叡智と風格をもった偽物の正体も気になってしまう。いえむしろ私の最大の関心ごとだといえた。

 

 

さて、どう切り出すべきかしら・・・?

 

 

私が真相を知ることをこの方は望まないかもしれないのだから。だけどこのまま疑念を抱いたままライザール様の側にいることはできそうになかった。

 

 

「お邪魔してしまったかしら?今日は確かめたいことがあって伺ったのよ」

 

 

何気なさを装いながらハサン様の出方を窺う。まるで密偵に戻ってしまった気分だった。

 

 

「・・・それは貴女が『特別な夢』を見たからですか?」

 

――!

 

やはり全てこの方が謀ったことだったのだろうか?安眠香どころか任意の夢を見せることだって可能なのかもしれない。