「私がここに来たのは他でもない大事な君のためだよ。いいかい、君は今ひどく混乱しているようだ。真実は少なからず君に苦しみももたらしたものだった」

 

 

――その通りだわ

 

 

ライザール様の正体は私が探していた思い出の方だったけれど、同時に彼が偽王であることを知らしめた。私の存在はライザール様を苦しめてしまうだろう・・それは私の望みではなかった。

 

 

本当ならば身の保身をはかるべきなのかもしれない。それでも私はライザール様を裏切って逃げ出すことはできそうになかった。

 

 

「少なからず責任は『私』にもあるらしいから、せめて罪滅ぼしをしたくて来たんだ」

 

――?

 

 

ああ、私に暗示をかけたことを後悔なさっているのかしら

 

 

「かつて私が選んだ娘は王が偽物だと知り、その秘密の重さに耐えきれずに別の相手を選んでしまった。そして悲劇が起きてしまった。彼女の選択は尊重するが、悲劇は避けられたかもしれない。それが悔やまれてね」

 

 

店主様・・なにをおっしゃっているの?

 

 

私の脳裏にライオール王とハサン様の間で懊悩したアリージュ様の姿がよぎった。

 

 

しかしもしそうならばライオール様も偽物だったことになってしまう・・そんなことが本当に?そしてなぜ店主様がそのことを知っているのか疑念はあったが、微笑む店主様の考えは読めないままだ。

 

 

なにかしら・・・目の前にいるのは確かに店主様に違いないのにどこか違和感を拭い去ることはできなかったが今はわざわざ姿を見せた店主様の思惑の方が気がかりだった。