本当に些細な偶然の積み重ねで命運がわかれてしまったのかもしれない。王の血筋でないからこそ、正体が露見することをなによりも恐れていたライオール様にとってアリージュ様は脅威になってしまったなんて・・・

 

 

けれど全てはもう過去のできごとだった。どれほど悔やんでも変えられないことがあるからこそ後悔しないように生きて欲しいとハサン様は私達に助言してくださった。過去は変えられなくても学ぶべきものはあると店主様は言った。本当にその通りだわ。

 

 

結局王家の血筋の謎は残ってしまったけれど、偽物の王と王妃に託されたのだから今更追及する気はおきなかった。

 

 

私とライザール様はこうして共犯関係になった。だからって隠し事がなくなったわけじゃないわ。ライザール様の夜遊びは減ったけれど、本当にどこでなにをしているのかしら?浮気じゃないから心配するなって彼は言った。そこは信用してもいいけどいつか教えて欲しいわね。私の方も店主様のことを結局言い出せなかったからお互い様だった。

 

 

私を王宮に送り込んだのが店主様だったからよ。だけど王の血を欲していた頃の店主様ではないと確信があった。

 

 

やっぱり私を心配して来てくださったのよね?

 

 

店主様とハサン様の関係も謎だった。本当にどんな関係なのかしら??ハサン様のお話しでは私がいただいたハーブティーは店主様が私の心を解放するためにブレンドされた特別なものだったようだ。

 

 

本当に不思議な方達だったが、けれどさほど心配はしていなかった。ハサン様はライザール様の良き理解者で友だからよ。時おり助言をされたり、相談相手になってくださるけど相変わらず隠遁生活を送られている。

 

 

そしてあの夜以降店主様は再び姿を消してしまった。以前の私ならばなにか企んでおられるかもって危惧したでしょうけど、今は違うわ。

 

 

きっとどこかで私達を見守ってくださっているのだと信じている

 

 

なんというかあの時会った店主様からは畏怖だけではなく私利私欲のない超越したなにかをひたひたと感じた。あんな気配をまとった方と会うのは初めてだった。そんな方が私に手を差し伸べてくださり、背中を押してくれた。

 

 

チャンスはそう何度も巡っては来ない。だから私も地に足をしっかりとつけて後悔のないように生きたい

 

 

あの僅かの邂逅はそんな前向きな気持ちにさせるものだった。