そもそも先ほどからの店主の話を聞いてたらなんとなくだが、

タイムスリップ系の王道の物語に似てるような気がした。

 

大抵の場合時空を超えたヒロインはその時代の誰かの身体を借り受け王子たちと恋愛に落ちる・・というのが定番だった。

 

相手が王子だけにいずれ権力争いに巻き込まれ悲しい結末になることが多いイメージだ。そんな作品をいくつか見たことがあった。

 

なら納得できるかもしれないわ。

 

悲しい結末だからこそ感動してしまうこともあるのだろう。

ただ私向きではないわねえ・・・

 

それに先ほどの店主の言葉がひっかかっていた。

身の安全、気持ちの整理は自己責任とはどういうことなのだろう?

 

確かに・・たとえ架空のお話しであっても不快なオチだったりしたら後味の悪さに気分が悪くなるってことはあるわね。

 

するとこちらを窺っていた店主がタイミングを見計らったように畳みかけた。

 

「このゲームは参加方式ですから全てはお客様の自己責任となります。そう申しあげたのですよ」

 

???

 

オンラインとかそういうことかしら??まさか「王」に選ばれた人がいるとか・・?

 

今一つ要領を得ない私を見た店主が両手を打ち合わせたかと思うと、目の前の空間が歪み気づいたらどこかわからない空間に佇んでいた。

 

!!!?

 

「ここはどこ!?どうなってるの?」

 

動揺する私を尻目に店主は「百聞は一見に如かず、ですよお客様」と言った。

 

確かにその通りだった。今目の前にしても信じられないけれど・・・確かに私はこの場所に佇んでいた。そしてこの空間に呼び込んだのは店主だ。

 

不安と期待が入り混じってゆく。

そして突如この店に入ったまま出てこない客の謎がわかった気がした。

 

「なぜこの場所に・・?なにが目的なの?まさか他のお客にも同じことを?」

 

状況に対して気持ちの整理が追い付かなかったが、店主の思惑がわかればてがかりが得られるかもしれない。

 

「他の方々はそれぞれに相応しい別の物語へご案内さしあげました。次元回廊上で他のお客様とすれ違うことなどありませんからご安心ください。言ったはずです、これは貴女のためだけの特別な物語だと。だからこそ貴女にはゲームに参加していただきたい。」

 

SFの知識はあるからなんとなく理解はできたが、この空間は私の為に開かれた場所らしい。