しかしここになってやっと「身の安全」と「自己責任」の理由が見えた気がした。

 

つまりその人物のどちらかにシンクロして追体験をするため、私自身の安全は保障されるが人生を全うすればまた戻って来られるのではないだろうか。

 

処刑と暗ドクロ・・どちらも大差なさそうな酷い終わり方だった。

まさにバッドエンドと言っていい。

 

けれど恋愛ゲームだけに二人の女性とも愛に生きそのために人生を終えたのだとしたら・・

 

確かにロマンティックなのかもしれないわ

 

でも愛せるかどうかわからない相手と恋愛なんて・・楽しめるかしら?

 

どんな評判の大作であっても好みってものがあるでしょ?

 

ましてや追体験しなきゃならないのにことごとく私の意志を無視されてしまうなんて・・あんまりだわ

 

そう思っていたら店主がまたもや奇妙な笑みを浮かべた。

 

「貴女の疑問はごもっともです。ですから特別に教えてさしあげましょう・・実はとっておきの方法があるのですがこちらは生憎と貴女の身の安全も結末も含めて当方は一切の責任を負うことはできません、すべて自己責任となります」

 

心を読まれた?まさか・・

 

それはずいぶんとふっかけられたものだ。

より悪くなったとも思えたが、ギャンブルのようなものなのかもしれない。

 

賭け事は得意じゃないし、まして自己責任だなんて

 

「つまり・・ヒロインの結末もより良く変えられる可能性があるということ?」

 

上手く物語を進めればハッピーエンドも夢じゃないというのは悪くない話だった。

 

「ええそうですよ。ただし・・もちろん条件がありますが・・」

 

でしょうね

 

そして店主は驚くべき事実を打ち明けたのだった。

 

それによると、私がシンクロしなければならないヒロインたちにも個性があるらしい。

 

彼女達に選択を委ね大人しく物語に従う分にはこちらの身の安全は100%保証される。もちろんヒロインは相応しい最期を遂げてしまうが私はまたここに戻ってこられるそうだ。

 

あくまでも俯瞰で他人の人生を満喫できるということかしら

・・あんまりよい趣味ではないわね

 

けれど不貞がテーマだけに思いとどまって欲しくなってしまうこともあるだろう。

 

それにどちらの男性を気に入るかだってわからないじゃない?

 

冷たい王なのか誘惑をしかける隣国の王子なのか・・会ってみるまではわからない。