まさか本当に!?

 

前に見たホリウッド映画でそんなのあったわね。呪卍だったかしら・・?

 

大声で叫べば元の世界に戻れる・・なんてことはなさそうね。

ドラムの音だってしない・・・

 

まさか私がそんな目にあうなんて・・

ふとした好奇心にかられて骨とう品屋に入っただけなのに・・

 

「シリーン・・一つだけ君にアドバイスをしてあげよう・・ありのままの君でいなさい」

 

それがアドバイスなの?でも・・自分らしくいた方が良い結果をもたらせるかもしれないわ。

 

別に他人になりたい願望があるわけじゃないから。

魂をシンクロさせて完全にその世界に没頭してしまうのか、あっさりと遊ぶだけに留めて元の世界に戻るのかの選択の余地だってある・・

 

ゲームであってゲームでない世界、

そんな異世界に私は迷い込んでしまったのだから前途多難だった。

 

――さあシリーン着いたよ・・目を開けてごらん。今は「彼女」には眠ってもらってるから私の声が聞こえるだろう・・?

 

砂嵐のようなノイズ音とともに直接脳内に店主の声が聞こえてくる間も私の意識は混濁することもなく正気を保ったままだった。

 

 

周囲の様子を窺っていると、店主がガイダンスを開始する

 

―君は初心者だからガイダンスをつけたよ。右手を出してごらん

 

リンクしたヒロインの腕だろうか、力仕事なんてしたこともなさそうな手の持ち主だった。整った爪、白い素肌のほっそりとした腕を伸ばすと金色に光り輝く蛇がどこからともなく現れたかと思うと見る間に手首に巻き付き素敵な装飾がほどこされたブレスレットになった。

 

――驚いた・・・蛇がブレスレットになるなんて

 

蛇が巻き付いた感触なんてけっして良いものじゃないけど・・

でもこれだけが今の私には命綱なのかもと思えばありがたかった。

 

――それはささやかな私からのプレゼントだ。君の助けになるといいが・・

 

言葉の壁はないようにしておいたから後は君自身がその目で見て確かめてごらん。・・主人公に全て任せて安全に楽しむか己自身で運命を切り開くのか・・すべては君次第だよ・・シリーン

 

その言葉が終わるとともに何も聞こえなくなった。

 

まるで誰かの気配がする真っ暗な部屋にいるような居心地悪さを感じていたら、どこからともなくか細い泣き声が聞こえてきた。