正妃のために用意された豪華な部屋で休憩していたら、先触れが王の来訪を告げた。

 

待ちかねたわ!やっとライザール様と会えるのね

 

結局どんな恋愛物語であっても、好みのタイプであることは重要だった。

 

確か・・・三十路でワイルドな風貌の方だったわよね。

 

礼節にのっとり出迎えの礼をしてそのまま待っていると扉のない

アーチ型の入り口を通り軽やかな足音を立てた人物がこちらへとやってくる気配があった。

 

姫は先ほどより落ち着いた態度で頭を垂れているためライザール様の姿は確認できなかった。

 

粗相があっては大変だわ・・ここはひとまず静かに待った方がよさそう。

 

「ああ・・待たせたな。顔をあげられるがいい・・よく来られた・・姫、私がシャナーサの王、ライザールだ。会えて嬉しいぞ」

 

自信に満ち溢れた低く落ち着いた声だ。でもなんかどこかで聞き覚えがある気がするんだけど・・?

 

促されるように姫が居住まいを正し、ライザール王へと向き直った時、やっと姿を確認することができた。

 

背が高く立派な体躯・・まさに偉丈夫と呼ぶにふさわしい姿だった。

金糸で縁どられた白いローブ姿だったが、それでも彼が放つ独特の存在感や欲望を隠すことは難しかった。褐色の逞しい胸元からはまさに鉱山王に相応しい大粒の宝石がはまった金環の首飾りが輝きを放っていたが、ライザール様の威光は負けじとすさまじいものだ。

 

遠目に見たヴィンス殿下もなかなか立派な体躯の持ち主だったけど、どちらかというと王子様って感じの洗練された優美な印象だったけど・・・

 

ライザール王は有無を言わせぬ眼光の鋭い男だった。

まさに肉食男子って感じだわ・・確かにワイルドね・・

これまで出会った中には居なかったタイプだった。

 

笑みを浮かべてはいたが腹の底は見えない。

 

酸いも甘いも嚙み分けた大人の男って感じかしら。

 

やだ・・・思ったより素敵かもしれないわ・・ドキドキ

どちらかというと引っ張って行って欲しいもの。

でもそうね・・なんだか初めてあった気がしないわ・・どうしてかしら?

 

けれどテンション高めの私とはうってかわり、姫の方は相変わらず冷めた様子だった。深窓の姫だから感情のままに振舞ったりはしないのだろう。

 

先ほど女官長に苛立った態度を見せたのと同じ人物とは思えない有様だった。

 

いえ、これはもしかするとルーガンの伝統的作法なのかも。