廊下に跪いたままサイコロを振ると、サイコロは軽妙な音と共に廊下を転がりやがて止まった。
出た目は2だった。
「2か・・・駆け出しのスパイってところだね。君がなにかアクションを起こすたびにレベルが加算されるよ」
なんだか頼りないわねえ・・でもしかたないか
『ならライザールさまが今夜何をしてるのか確かめることもできるかしら?ねえ、もしかして彼も他の世界から来たの?』
やっぱり気になるじゃない?
好奇心に駆られるままそう尋ねると店主さんは頷いた。
「それは自分の目で確かめた方がいい。そうだ、なら私から指令をあげようか。まずはライザール王を尾行してごらん。だけど0時の鐘が鳴るまでに帰ってくるんだよ。レベル2なんだし無理は禁物だ」
尾行ってことはやっぱり外出されるのね。なによ気になるじゃない
『面白そうね、いいわ』
頷くと、店主さんは先導するように歩き出したため後を追い、やがて王の私室へと続く廊下に出た。
思ったよりも近い距離だった。
「さあついた。スタートは同じがいいだろう?今さっき王が出て行ったようだよ。部屋の窓から壁を伝いに中庭に降りて尾行してごらん」
あら、いきなり本格的なのね。いいわ
扉には衛兵の姿はなかったため、すんなりと王の私室に忍び込むことができた。
へえ・・・ここがライザール様のお部屋なのね。
吹き抜けの回廊がぐるりと囲む王の私室は、書斎と応接室と寝室が部屋続きになっているようだった。
壁に設置された書棚に圧倒されてしまう。ずいぶん読書家のようだ。
いけない、感心している場合じゃなかったわ。
「それじゃ行っておいで、シリーン。気を付けて」
見送る店主に手を振ると、窓から身を乗り出し壁伝いに中庭へと降り立った。
なんだか学生時代に戻った気分がした。