瞠目したままこちらを窺っているようだ。
「これはいったいどういう状況だ・・?」
落ち着いた声でそう尋ねるライザール様になんて答えようかしら?
→挨拶を返す
『おはようございます、気持ちの良い朝ですね』
何食わぬ顔をしてそう言ったら、ライザール様も調子を合わせるように不敵な笑みを浮かべた。
あら、そんな表情もされるのね。昨夜の盗賊姿も様になってたし、やっぱりただの品行方正な王様ってだけでもない方なんだわ。
「まさかカルゥを手懐けるとはな、恐れ入ったぞ、姫。こちらの気遣いが無駄になってしまったがまあいい、改めて紹介しよう。コイツはカルゥ。私の相棒のマウトグイーダだ」
――名前はカルゥというのね、この子にぴったりだわ
『マウトグイーダっておっしゃったの?それはなに?』
これまでてっきりピューマの亜種だと思っていたが、どうやら違うらしい。
死を告げる使者のような存在だとライザール様は付け加えた。
少々迷信深い方のようだ。正直なところ、カルゥがそんな不吉な存在だとは思えなかったが、改めて考えてみたら心当たりがないわけではない。
もし先に会ったのが姫だったなら・・・こんな風に慣れ親しめたとは思えなかった。
ライザール様の愛玩動物であっても、婚約者が怪我でもしたら国際問題に発展してしまうだろう。
そうなれば最悪の場合カルゥが処分されてしまったかもしれない。
いかにライザール様であっても、庇いきれなかった可能性はあった。
大貴族の姫だものありえるわ。
もちろんそうなれば、大切なペットを失ったライザール様と姫の間に禍根は残ったはずだ。
『紹介してくださってありがとう・・ライザール様にとって大切な家族なんですね。覚えておきますわ』
相棒だとライザール様は言ったが、その言葉に込められた愛情は十分伝わったわ。
「ああ・・それにしても姫には驚かされるな・・昨夜も・・いやこちらのことだ。気にしないでほしい」
一瞬昨夜のことに触れようとしたが、そこでライザール様ははぐらかした。