飄々とした声でアラム様は応じた。

 

「はい、その通りですが・・なにか?」

 

確かアラム様を任命したのはライザール様だったわよね?

その割には意思の疎通が難しいのかしら?

 

「わかりません、だって国って国民あってのものでしょう?トイだって立派な国民ですわ。それに私だって婚姻が成立したらシャナーサの国民ですからね」

 

ごく当たり前のことを言ったつもりだったけど、アラム様はぽかんとした様子だった。

 

もちろんベールで顔は隠れているから表情はわからなかったけれど。

 

「・・そうです・・・ね。確かに、姫のおっしゃる通りかと・・これは失礼」

 

しばしの沈黙の後、アラム様は神妙な声で言った。

 

宰相なのに、国民あっての国だって発想がないなんて不思議な方だわ。

 

「なるほど、なるほど・・・では姫、改めて問いますが、姫はどうすれば良いと?」

 

一人合点がいったらしいがアラム様はこちらに質問を投げ返した。

 

なにかしら・・・慎重にこたえなければいけない気がするわ。

 

→子供たちを保護することを提案する

 

『可能なら子供たちを王宮の施設などで保護できませんか?できれば教育も・・・この国の将来のためにも大事なことじゃないでしょうか』

 

もちろんこの提案には様々な問題をはらんでいた。

ライザール様がどのような形で支援をされているにせよ、子供達の養育には莫大な財源が必要だろうから。

 

私の意見を聞いたお二人は顔を見合わせてしばし無言になった。

 

そんなに意外なことを言ったつもりはなかったから内心焦ってしまう。

 

国は国民あってのものだって考えがそもそもなさそうなアラム様はともかく、ライザール様はわかってくださるわよね?

 

やがて可能かどうか十分に吟味したのかライザール様は先に口を開いた。

 

「問題はやはり財源と場所の確保だが・・あの業突く張りの貴族どもが賛同するとは思えんが・・・どうだ?アラム」

 

ライザール様は前向きに検討されている様子だけど、アラム様はどうなのかしら?

 

するとアラム様はあっさりと「無理ですね」と断言した。

しかし・・とアラム様はこちらを伺いながら続けた。

 

「しかしそれが姫の『願い』ならばぜひ叶えてさしあげてもいいのですが・・?」

 

?なんだかひっかかる言い方をするわね。なにかこちらを唆すような気配を感じるけど・・