「おい!」

 

するとライザール様が焦ったように口をはさんできた。

 

事情はよくわからないけれど、どう応えるべきかしら?

 

『・・・これは個人的な『願い』とかじゃないわ。この国の将来のために『私達の力』でできることをしましょうって前向きな検討をしたいだけよ』

 

願ってどうにかなるものだとは思えなかった。

するとあっさりと納得したのかアラム様は頷かれると、先ほどとは打って変わった様子で続けた。

 

「そうですね・・・簡単ではありませんが、貴女が王妃となられたら可能なこともあるのではないでしょうか。私も宰相として微力ながらお力になれるかと」

 

ライザール様も迎合するかのように頷かれた。

 

「そうだな・・王妃自ら率先すれば良い手本になるだろう・・・そなたにその覚悟があるならば・・な」

 

試すようにそう言うとライザール様はこちらを見つめた。

 

結局いつだって試されるのは私の覚悟のようだ。

安全な場所からならなんとでも言えるものね・・・だけどもし、王妃になれば可能性は広がるのかもしれない。

 

結論は出ないまま朝食は終わってしまい、宰相は退席してしまった。

 

だけど有意義な話し合いの場を持てたのかしら?

簡単な問題じゃないけど諦めたくないわ。

 

パンがないならお菓子を食べればいいのに・・なんて思えないもの

 

それにしても、アラム様ってやっぱり謎めいた方だったわね。

店主さんかもって思ってたけど・・やっぱりわからないわ。

 

あれこれ考えていたらライザール様が声をかけてきた。

 

「先ほどは冷やりとしたが、アラムに安易な『願い事』はしない方がいい。後悔したくないならな」

 

それはどういう意味かしら・・?

でも聞き返せる雰囲気ではないわね。

だから頷くとライザール様はどこか安堵した様子だった。