『砂漠で会った商人は貴方だったの?』

 

言った瞬間、それは確証に変わった。

渇いてた私の前に差し出された葡萄の味は忘れがたいものだったのだ。

 

するとライザール様は短く「ああ」と答えるとこちらに向き直った。

 

「この婚姻は私から望んだものだが、アラムに一任したからな。奴は任せておけと言ったが、こちらから出向いていち早く確かめようと思った」

 

なるほど、そんな事情だったのね。それにしても行動力があるのかないのかわからないわね。

 

まさか大事な婚姻をアラム様に丸投げしていたなんて・・あせる

先ほどのフリード大使の話が裏付けられたようだ。

 

店主さんと宰相様が同一人物だとして、私を呼び寄せるために計画されたことだとしたら・・?

 

もしくは姫との婚姻はそのまま行われたけど最悪な結果になったから打開策として結末を変えるために私を呼んだのだとしたら

・・そっちの方がありえそうね

 

次元回廊を行き来できる店主さんなら可能性はあるかも

 

そしてライザール様が私と同じ感情のある人ならば、彼にとって姫はただのNPCでしかない。

 

私が感じたようにライザール様もNPC相手に恋愛感情を維持できないと思ってもおかしくないのだ。

 

「最初の印象は決して良くなかった。美しいが無表情で人形のような女だと思ったが、まるで生命が宿ったように表情豊かになり美味そうに葡萄を食べるそなたを見た時、ホッとしたぞ」

 

あの瞬間私はライザール様に見初められたのね

 

『そうだったんですね・・あの時いただいた葡萄はとても美味しかったわ』

 

美味しいものに目がない食いしん坊って思われてもいいわ。

砂漠でみずみずしいフルーツを口にできるなんて思わなかったから最高のプレゼントだった。

 

「ああ・・・できれば私の手から食べさせてやりたかったぞ」

 

やっぱり私に餌付けしていたのね。

考えてみたらいつだって絶妙なタイミングで食料を差し出されてる気がする。

 

それほどまでに私がわかりやすいのか、もしくはライザール様がつぶさに「私」を見ていたということだろう。

 

「明日の初夜だが私はそなたでいて欲しい。・・・わかるか?」

 

思わずドキリとしてしまう。

まさかここで初夜について言及するなんて思ってもなかったわ。

 

そりゃさっきは私だってもう少し先に進みたいって思ったけど・・

 

だけどはぐらかすことはできないくらいライザール様は真剣な顔だわ。

 

そもそも恋愛をしたいと願ってこのゲームに身を投じたのは私だった。

 

そうして出会った方と恋愛感情を育む前に結ばれることになっただけ。