ライザール様が持ち込んだ食料を分配する子供達の顔は皆輝いていた。

 

「支援ってこのことを言ってたんですね」

 

想像していた支援とは違ったけど、支援には違いない。

会議での決定を待っていたら間に合わないからこそだろう。

 

まさか王自ら夜な夜な食料を配ってるなんて思わなかったわ。

しかもただで配ってるわけではないらしい。

 

子供たちはさまざまなところに潜り込めるからこの街で得た情報を売買しているのだそうだ。

 

心配だけど、子供達もリスクは承知なんですって。

でも私は女だからやっぱり心配の方が勝ってしまう。

 

十分とは言い難い支援より、子供たちに必要なのはやっぱり保護と養育だろうから。

 

「私が王妃になればこの子たちに支援の手を差し伸べることができるんでしょうか?」

 

それは可能性でしかなかったし、覚悟だっているだろう。

ライザール様が成せないことを私なんかができるのかもわからない。

 

「そなたなら出来ることもあるだろう、少なくとも私はそう信じている」

 

私を信じてくださるのね・・

 

まだどこかにこの子たちがただのNPCだって気持ちだってあった。

けれど・・・

 

「姫様・・この間は美味しいフルーツありがとう・・」

 

トイの後ろに隠れていた妹、アスラがそう言って私に微笑んでくれた。

 

フルーツをあげたのは偶然だったけれど、それに対してアスラは礼を言ったのだ。

 

学習機能のあるAIだったら可能かもしれない・・

だけどやっぱりこの世界でこの子たちは生きているのだと実感してしまう。

 

失われてしまっては二度と取り戻すことなどできない存在なんだわ・・

 

ライザール様も現状でできる限りのことをなさっているけど、それに満足しているわけではないのだと思う。

 

だからこそ私にも期待を寄せられているのだろう。

 

「きっともっと何かできることがあるはずです。私も自分になにができるのか考えてみますね」

 

安請け合いしたつもりはない。

 

ここにいる子供たち以外にも子供達だけで形成されたコミュはあるのだと思う。

 

たまたまライザール様と出会えて支援を受けられる子もいれば、闇に引き込まれてしまう子たちもいる。