「あの時私が願うように仕向けたでしょ!フェアじゃないわ!」

 

もしうっかり口を滑らせればどんな代償を取られたかわかったものじゃなかった。

 

「それは失礼。・・・シリーン、貴女を少々試させてもらっただけですよ。私は貴女を裏切らない。決して・・だから哀れな下僕めをお許しください」

 

殊勝な態度で言うアラム様を見たライザール様は鼻で笑うと「どうだかな」と忌々しそうに言った。

 

『そんな顔したってダメよ。二度と生贄を求めないって誓いなさい』

 

下手に出る店主の態度を白々しく思ったが、言質をとっておきたかった。

 

すると店主は三日月型の目で笑むと応じた。

 

「それが王妃としてお命じならば従うとお約束いたしますが・・・?」

 

そうきますか。

 

この世界が抱えた秘密が重すぎるから、私に警告を込めてライザール様が留まるか帰還するか選ばせようとなさったことが発端だった。

 

もしこの世界を去るならば私に口だす権利はないのだ。

 

→この世界に留まる

 

「私は王妃になる運命を受け入れるわ・・だから従いなさい!アラム」

 

それはまさに言霊だ。

この瞬間、シンクロ率は100%になり私は完全にこの世界の住人になったのだった。

 

「シリーン・・後悔しないか?」

 

ずっと見守っていたライザール様の問いかけに無言で頷き返す。

 

だってそれが私の望みだもの。この世界で貴方と運命を共にすることだわ

 

やがて融合が完全になった時、開いた掌の上に決意の証として「王妃の駒」が載っていたのだった。

 

倣うように手を開いたライザール様の掌の上には「王の駒」が載っていた。

 

――ああ、やっぱりそうだったのね。

 

やはりライザール様も異世界からこの世界へと来たプレイヤーだったことに安堵する。

 

「王と王妃の駒が揃ったようだね・・では盤上においてごらん」

 

目の前にシャナーサ国のジオラマが宙に浮いていた。

 

店主さんが示した場所――宮殿上の玉座に、私達は自分の駒を置くと、互いの両手を握り合ったまま見つめ合い微笑みをかわした。

 

これは私達の共同作業の第一歩だった。