確かにかつては捨て去ってしまいたかった。
乗り越えることだけを願って・・・
だがあの挫折があったからこそ、今の私がある。
ライアーズアートは万能じゃない。それでも私にとっては唯一無二の切り札だった。
とはいえ限界はもちろんある。だけどまずは私自身が真の意味で恐怖を克服せねばならないのかもしれない。
だから私は自分の弱さも欲望も受け入れよう・・
やがて車はトンネルを出たがすでに日が暮れようとしていた。
「紗希・・?今なんか言ったか・・?」
どうやら私の声が聞こえていたらしい。
「・・・車・・停めて」
さすがに安全を考慮しないと・・ここで事故っちゃシャレにならない。
「?・・・おお」
事情が分からず狐につままれたような顔を向けた刹那君に微笑みかけた私は、そのまま彼の唇を奪った。
突然のキスが理解できず刹那君はすっかり固まってしまったみたい。
そりゃそうよね。
「・・・・・!!!????」
真っ赤な顔で絶句してしまった刹那君を煽るのはこれくらいでいいかな?
あとは彼の気持ち次第だけど・・どうするの?刹那君
ゆったりと足を組み替えると刹那君が喉を鳴らす音がした。