間もなく生まれた女児は王の子ではなく夫妻の子として育てられた。

 

「私」の強大な力が悪用されることを危惧した王はそれ以降子を成すこともなく、やがて成長したライオールが王位を継いだ。

 

王家の血筋を守らねば砂嵐で国が滅んでしまうことを恐れたライオールは、父王の遺言で存在を知った娘を探し出し王妃として迎えた。

 

そこで再び血が混じり王族の血を引くライザが誕生したが、王妃は早世してしまい残された王族が再びライザだけになってしまったのだ。

 

幼い王子は病弱であり王妃同様短命の可能性を危惧したライオールは、王族の血を引かないながらも、無謀にも私と取引をすることにした。

 

「王」の立場のライオールとの取引に応じた私に、一定数の生ドクロを供物として捧げる代わりに、王国の繫栄を求めたのだよ。

 

そうライオールはハレムの女達を私の貢物にしたのだ。

 

そしてそのハレムの中にアリージュはいた。

彼女は類まれなる能力を秘めた巫女だった。

 

蛇と――私と・・・言葉を交わすことができた。

汚れなき乙女だったが彼女に我が力を与えることにした。

 

私の牙を受けた彼女は能力を開花させ、王族の男を惑わせる芳香を身にまとうことができた。

 

ライザールも我が主ジェミルもライザの早熟さを驚いたようだが、

それは彼らが短命だからだ。生き急がねば成せないことがある。

 

幼いながらも嫡男としてライザは己の役割を正しく理解していた。

血が途絶えれば、つまり己の命が尽きれば王国が滅ぶことを

・・わかっていた。