それは王が待ち望んだ後継者だった。
なんとしても子孫は残さねばならないが、秘密を知ったアリージュを生かしておくのは危険過ぎた。
アリージュは賢明にも沈黙を守ったため、王もしばらくは様子を見たようだが彼女が身を寄せた大貴族が幼い王子を傀儡にして王権を奪おうと画策したことが仇となった。
王子のためにいつ心変わりするとも限らない・・母親となれば猶更だ。
一度は心惹かれた女のはずがもはや猶予はならなかったのだろう・・
愛息子の愛した女と承知でライオールは密命を下したのだよ。
アリージュを暗
しろ・・とね。
ジェミルが7歳の時ついに計画は無情に実行に移された。
多数の刺客が仕向けられたどさくさに紛れて・・・
そう、アリージュを手にかけたのは王の刺客、ダーラだった。
王はダーラとアリージュが親友だと知った上で利用したのだ。
忠誠心と友情と嫉妬の狭間でダーラは葛藤したが、アリージュが彼女に妊娠を告げた時二人の友情は壊れてしまった。
しかしその憎悪は決してライザに悟られてはならないものだった。
私は虫の息だったアリージュに会うことにした。
祈りを捧げ私を鎮める役割を担った巫女だったからね。
「感謝します・・・あの方の愛を受け、ジェミルを授かることができました・・どうかジェミルを見守って・・・あの子が最後の希望なの・・・だから」
私と王の密約を知ったばかりに彼女は・・・そう思えば悔やまれるよ
だが私にとって取引は優先すべきことだった。本当に残念だ。
不思議だがあの頃より人の形を得た今になって、実感するとは。