王妃になったからといって密偵だった性が簡単に消えるわけではない。
暗殺が日常茶飯事と聞いても取り乱すことなく、不穏な事態が起きれば一早く行動に移して曲者を制圧する手際を見てもあなどれない女だった。
まさに一流・・あの若さであれだけの腕を持ちながらあっさりと男のために全てを投げうつなんて・・それだけの価値があの男にあるというの・・?
あの女の求めるものが愛なのか地位なのかそれはわからない
はっきりしているのはあの女は求められ私は求められなかったということだけ
ただそれだけのことがこれほど腹立たしいなんて・・・
私とあの女達となにが違うというのだろう・・
若さこそ失ってしまったが容姿がそう劣るわけでもない
ヘナタトゥーを差し出した緋色の髪の女の姿が浮かんだ。
確か・・アイーシャとかいう取るに足りない女だったかしら
あの女は親友だといいながら、裏では彼女を裏切り利用していただけだった。
「これがあれば貴女も不老不死になれるのよ?どう?私と手を組まない?シリーンさえいればその夢が叶うわ。王の血さえ手に入れば永遠の美が約束される!!」
王妃をまるでモルモットのように扱っていたことを悪びれもせずにあの女はそうまくし立てた。
美しい顔と裏腹に魂が腐った醜悪な女だった。
その醜さに相応しい最期を与えたことに後悔はない。
永遠の美のために王の生き血を求めていたあの女にだけはあの方の存在を気取られるわけにはいかなかった。
私が女官長だと悟り手を組まないかとあの女は言った。
永遠の美?不老不死?くだらない・・そんなもののためにあの方を狙うなんて!!