やはり彼女は密偵でいたかったのだろうか?いや、女であることを選んでしまったからこそ生じた葛藤なのだろう。

 

私だって常に葛藤はあるし、それでも選ばねばならないのが人生だった。

 

レイラは私の妻になることを選んだし、そんな彼女を私も受け入れた。

 

後悔がまったくない選択などないだろう。

だからこそこの選択が本当に正しかったのか模索しながら進むことしかできない。

 

王になることを選ばねば成せなかったことがあった。

そして妻を娶ったことで失ったものも恐らくあるが得たものもある。

 

私という夫を得た彼女が何を成すのか全てはこれからの私達の関係次第だ。

 

互いの人生を豊かにするための協力は惜しまないつもりだし、

彼女にもそうあって欲しいものだ。

 

だから今は愛すべき妻としばしの間、親睦を深めるとしよう。

 

抱き寄せるとレイラは少しだけ恥じらいを見せたが、素直に身を寄せてきた。

 

最初の印象と随分と変わったが、やはり私が初めての男だからだろうか。

 

初心な反応が好ましいが、ならば手解きは慎重にしなくてはな

妻として迎えた女だから気は使うさ。

 

儀礼的に済ませたくないのは私も同じだった。

欲しいのは刹那の快楽じゃない。

指と指を絡ませ合い、汗ばんでゆく素肌をあわせ、互いに鼓動を高め合う

 

サラサラと触れる絹のような彼女の白銀の髪の香りも好ましい。

上気した彼女の顔が愉悦で輝く様はとても美しかった。

 

抱き寄せて吐息を閉じ込めるように口づけると感極まったのかレイラが抱きついてきた。

 

温もりを分かち合う間互いに無言だったが、確かにその瞬間私達の心は繋がっていたのだ。