「それではレイラ様・・失礼いたします」

 

退室の挨拶をするダーラに頷きながら密かに彼女の様子をうかがった私は内心嘆息した。

 

彼女を前にすると正体を見破られはしないか緊張をしてしまうのもいつものことだ。

 

女官長のダーラがライザール様の信頼も厚いのも頷けるわね。

相変わらずそつがなく考えが読めない女性だった。

 

少し前のことだ。

輿入れの時からずっと側仕えをしてくれていたアリ家の侍女アーニャは今も傍にいて宮中のことに疎い私に助言をくれていたが、時折数人いる侍女達の顔ぶれがいつの間にか変わることに気づいた。

 

アーニャに聞いてみたが「粗相があったので」と言葉を濁すだけ。

彼女はなにか知っているようだったけど、私には言えないことなの?

 

ここは宮中だけにそういうことは日常茶飯事なのかもしれないと納得するしかなかった。侍女と言っても身分は様々だから。

 

そうはいっても同様のことが続けば気になるものでしょう?

身分を詐称して王妃になってしまった私は、この宮中で本音を分かち合える者がいないということがどれほど辛いことなのか遅まきながら実感することになった。