気立ての良いアーニャとは年が近いせいか気は合うけど侍女と

王妃では立場が違う。

 

味方が欲しかったけど弱みをさらすことはできなかったし、王妃の立場ではやはり難しいのかもしれない。

 

こちらの顔色を窺う人たちばかりだから。

 

名前も年齢も出自も全てが嘘で塗り固められた私にできることなんて限られていた。

 

ライザール様に惹かれて自ら望んで妻になったのに・・

それは一生愛する方にも偽らねばならない罪悪感を抱えることだったなんて。

 

私自身多くの秘密を抱えていたから、侍女達にもなにか事情があったのだと思っていたのに・・

 

どうやらもっと不穏な事態だったことに私は気づき始めていた。

侍女達の中にはひどくダーラを恐れている者がいるようだったから。

 

王妃付きの侍女だからダーラを恐れる理由はないはずなのに・・

なぜかしら?

 

何度か問い詰めた後アーニャがやっと重い口を開き語ってくれたのだが、

 

どうやら消えた侍女達は女官長のダーラにより処分されてしまったのだという。

 

追放ではなく処分、そのあまりにも重い言葉にめまいがした。

確かにダーラならあり得る話だった。

 

かくいう私も密偵として潜入した際、隠し持っていた暗器をことごとく見破られて没収されてしまったことがあった。

 

ライザール様からのお咎めはなかったけれど、報告は受けたはずだからあえて見逃されたようだ。その恩赦には感謝しているわ。

 

夫になる方に激しく責められたら恋愛感情を維持できなかったもの。

 

だから厳しい方ではある反面、公平さと寛容さを併せもってる方だと信頼を寄せていた。

 

ライザール様が私に甘い分、ダーラが鞭の役割を担ってるようだ。

 

あの時もダーラをただ者ではないと思っていたけど、やはり彼女は王直属の密偵なのかもしれない。