「お前がなぜライザールを狙ったにせよ、どうか私に免じて許して欲しい。彼はこの国には必要な立派な王だ。民のためにもけっして失ってはならないよ。それにお前にこれ以上罪を重ねさせたくはない・・どうか親心を汲んでもらえないだろうか・・ジェミル」
俺の名前を父が呼んでくれた時、俺の中で淀んでいた澱が浄化された心地がした。
この人は守らなきゃダメだ・・店主なんかに奪わせはしない!!
だけど暗示のかかってしまった俺ではたちうちできそうになかった。
一体どうすれば・・・
焦燥に駆られながらも、聞かれるままこれまでの俺のこと、俺とシリーンのことを話した。誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
もちろんシリーンの名前は明かさなかったけどな。
父からライザールの耳に入るかもしれないことを俺は恐れたんだ。
偽物の王であるライザールには偽物のレイラが相応しいのかもしれない。
あいつがそれで幸せなのかは俺にはわからない・・
そしてそれがアイツが手にした幸せってやつの代償なのだろうか?
ライザールは気にくわなかったが、あいつを大事にしてくれるなら見逃してもいい。
シリーンに俺の母みたいな悲しい女にはなって欲しくなかった。
一度にいろんなことがわかって混乱する俺に父は言った。
「よく聞いて欲しい、お前は私のたった一人の息子であり、この国の王子だ」
――!!
俺が王子なんて柄じゃないのは自覚あったが、血筋を絶やさないことが重要なのだと父は言った。
それは俺にシリーンを諦めろと言ったも同然だった。