店主の居場所を簡単に突き止めたやつならシリーンの居場所だってバレるのも時間の問題だろう・・
いや、奴はずっとヒラール宮にいたんだ・・・
シリーンと同じ場所に!!
どうすれば・・
しかし運の悪いことは重なるものだ。
ちょうど店主が連絡に使っていた鳥が戻ってきたからだ。
奴は鳥の足から回収した文と小さな箱をまじまじと観察し終えると楽しそうに言った。
「なるほど!彼女は愛する者を選んだようだ。・・だから手切れ金として自分の血を差し出すことにした。なんとも微笑ましい話じゃないか・・ふむ、とても香しい血だ・・・甘く魅惑的で・・・そして気高い」
蛇のような割れた舌をちらつかせながら「店主」は嬉々として言った。
俺は混乱しながらもシリーンがライザールの為に、店主を裏切る決意をしたことに内心ひどく感動していた。
動機はどうあれ、アイツが店主を見限ったことは嬉しかった。
店主亡き今、やっと晴れてアイツは自由になれたんだからな。
そしてどうやらこの「店主」は利己的な願いより、自己犠牲の精神の方を重んじる傾向にあることにも薄々気づく。
シリーンはライザールの為に血を流すこともいとわない・・・
その愛情の深さは俺に絶望をもたらしたが、俺だってアイツのためならばこの命を差し出せる
不器用な愛し方しかできないのはお互い様だった。