「ああ・・いいね、とてもピュアな君たちを気に入ったよ。だからチャンスをあげよう・・私は願いを叶えるための代償をいただくが、本来王の血筋に連なるもの以外と取引はしないんだよ。・・・私が存在するのはシャナーサ王家存続のためだけだからね。もし王族が消えればこの契約は無効になってしまうし、王国は熱砂に飲まれて消え去るだろう・・そういう盟約だ」
古の盟約だと「店主」は言った。それは変えようがないし、残された王族は俺と父だけだった。
毒に犯され余命いくばくもない俺と、病弱な父だけ・・・
それは近い将来この国が滅ぶことを示していたんだ・・
父の願いを託されたライザールが9年の歳月をかけて立て直した国が一夜のうちに滅んでしまう・・・
ざまあみろなんて言えるはずもなかった。
散々な嫌な思い出しかなかったが、俺はこの国が滅ぶのは嫌だ。
――シリーンだけを連れて逃げればいい・・
そんな利己的な願望さえもたげた。
だが俺ではシリーンを幸せにできねえ・・
もうアイツの泣き顔は見たくなかった。
もしそうなればライザールは国と運命を共にするだろうし、そんなライザールをシリーンが置いて逃げられるわけがなかった。
あいつはそんな薄情な女じゃない・・俺だってわかってるさ
どれだけ自分本位で利己的な考えに囚われたとしても、口に出して願わなければ大丈夫らしい・・
葛藤する俺を「店主」は緋色の双眸でじっと見ていたが何も言わなかった。
試された気がした。腹の探り合いは得意じゃないがしかたねぇ