それに今更どの面下げて会えってんだ・・
愛する男を奪おうとした俺のことを許してくれるかもわからない
しかも俺の命乞いなんてできるわけねえだろ。
それでも俺はあんたに俺の願いを託してもいいか?
「わかった・・俺の願いをシリーンに託すぜ」
俺の願いが叶うかどうかはシリーン次第だった。
だがやはり躊躇してしまったのは、シリーンに近づくのが容易ではないからだった。
すると「店主」が楽しそうに言った。
「ああ・・心配いらないよ。この姿ではシリーンを混乱させてしまうからね。だからここは一つ私の力で夢渡りをしようと思うんだ。」
はあ?コイツ何言ってんだ??
「店主」によれば夢とうつつの狭間にシリーンの魂だけを呼び出すことが可能らしい。
そして夢の中の出来事は忘却するのだそうだ。
どんな悪夢を見た後でも名残だけで思い出せることは僅かだろう?
とりあえず納得するしかなかった。
夢の中とはいえシリーンに会えるのは嬉しい反面緊張してしまう。
「わかってもらえたかな・・では行こうか・・我が主よ」
奴の声がしたかと思うと次の瞬間、俺は見覚えのある場所に佇んでいた。
そこはカマルのシリーンの部屋だった。
うっすらとベールがかかったような光景は現実感を欠いていたが、夢の中で夢だと自覚することは難しい。
あまりにも奇妙な感覚に戸惑う俺の前で扉がゆっくりと開いたかと思うと、シリーンが佇んでいた。