弟とこそ言わなかったが、大差ねぇ。だから咄嗟に俺は尋ねた。

 

「俺のこと許せんのか?怒ってねぇのかよ!」

 

交渉の場で相手の感情を逆なでするようなことは言うべきじゃないかもな。

 

だがしれっとした態度でいることはできそうになかった。

 

するとシリーンは一拍の間の後頷いた。

 

「ええ・・怒ってるわ。ジェミルが、あの方にしたことを簡単には許せない。でもなにか事情があったのでしょう・・?貴方はなんの理由もなしにあんなことをする子じゃないわ・・・少なくとも私はそう信じたいの」

 

――信じたいか・・まったくあんたはどこまで・・

でもそんなあんただから俺は・・・

 

「店主様・・もし私になにかできることがあるなら言って!どうすればジェミルは助かるの?」

 

俺と引き換えに店主はシリーンに何を差し出せというのか、固唾をのんで見守る。

 

「それは・・・」

 

シリーンに要求を突きつける店主の声は俺には聞こえなかった。

だがシリーンは気づいていないのか真剣に聞き入っているようだ。

 

その表情は青ざめていたが、絶望はない。

一体何を要求されたんだよシリーン!!

 

しばらく逡巡していたがシリーンは俺を見つめると「ええ、それで構わないわ」と店主に返事をした。