ありとあらゆる品はいずれはシャナーサ王国へと至る。

なぜならあの国を治めるのは盗賊王、ライザール王だったから・・

 

私は王への貢物として献上され、そして彼の寵愛を得た。

 

けれど私達は初対面ではなかった。

彼がまだ義賊のルトだったころ、幼かった私はバザールの片隅で出会ったのだ。

 

砂漠で生き別れてしまった後、彼はシャナーサの王位を簒奪して王になり私は密偵となり闇で生きてきた。

 

そんな私が初めて愛したのが隣国ルーガン王国の皇太子であるヴィンス殿下だったわ。

 

・・・愛していた

 

ううん・・今だって私の心から完全にヴィンス様が消えたわけじゃない。

 

けれど敵に捕まり男達に辱めを受けた時に私の中で希望が絶望に・・愛が憎悪に変わってしまった。

 

どうして助けてくれなかったの?

貴方もしょせん他の男達と同じケダモノなのね・・

醜悪な劣情を向けた貴方が許せなかった

 

純愛だっただけに絶望も大きかった。

 

剥き出しの欲望にぎらつくヴィンス様の双眸を見た瞬間、わかってしまった。

 

どれだけ望んでももうこの愛が叶わないのだと・・

 

そして心が砕けてしまい絶望に飲み込まれてしまった。

 

ああ・・私はどこで見誤ってしまったの・・?

忌まわしいこのヘナタトゥーがなければよかった?

 

それは私を愛欲の罠に絡めとり奈落へと突き落とした。