もう二度と傷つきたくなかったから私は女王蜂になると決めた。

 

夜毎異なる男達と刹那の戯れに興じるだけの女になったのよ。

 

それは本当に私が望んでいたことではなかったのに・・

葛藤から目をそらして狂乱に明け暮れることしかできなかった。

 

けれど爛れた生活に終止符をうったのはヴィンス様だった。

もしあのままあの場所に居たら私はきっと完全に壊れていただろう。

 

だからこそ今はヴィンス様の英断には感謝していた。

 

もう二度と会うこともない・・そう思っていたのに

 

秋も深まったこの時期になるとルーガンではジャックランタンが飾り付けられていたことを懐かしんでいた時のことだ。

 

侍女がやってきて王の来訪を告げた。

 

追憶を振り払い出迎えると、ライザール様の表情は曇っていた。

 

いつも自信に満ち溢れた方だけに気がかりだったが、挨拶をかわす。

 

「・・どうかなさったの?」

 

尋ねるとライザール様が重い口調で言った。

 

「今夜密書がルーガンから届いた。・・・ヴィンス王からだ」

 

 

まだヴィンス様の名前を聞くのは辛かった・・