私が気がかりなのは・・
→ライザール様のことだ
なにかを案じておられるようだけど・・・
良くない知らせなのかしら?
隣国とはいえ国交はないに等しい。
思わず喉元に手を当ててしまう。
ヴィンス様は愛情深い方だったけど同時に冷酷無慈悲な一面を持ち合わせた方でもあったから・・
私達の間には子がなかったから離縁は驚くほどあっさりと整ったけれど、もし世継ぎがいたならばけっして生きてルーガンを出ることは叶わなかっただろう。
愛欲に溺れていたがそこだけは私も気を付けていたことだった。
「・・そうですか。それでなんと?」
密偵だった性で動揺を押し隠すのは得意だったけれど・・
ライザール様はそんな私の様子を慎重に窺っておられるようだ。
「ああ・・・国賓として招待したいそうだ。私とお前をな・・・ヴィンスは近隣諸国に名を轟かせた英雄王だ。いかに隣国とはいえ今更こんな手紙を寄越すとは・・お前への未練か・・もしくは」
ライザール様はそこで黙り込んだ。