今回の「迷い家」現象でも被害者はないようだ。
先ほどから本部長の歯切れが悪いのはそのせいなのかもしれない。
これまで捜査してきた事件に比べたら事件と呼べるほどのものではないのは確かだった。
もちろん心霊スポット巡りしたさに私有地に無断で立ち入るのは刑事としてはいかがなものかとは思う反面、無事だったなら良かったではないかとも思う。
だが本部長の気持ちはわからないでもない。
なぜならここG県はFOAFの実験場でもあったからだ。
このG県で度々怪異が起きるのはそのせいだからこそ危惧しているのだろう。
いわくつきのトンネルやら橋やら枚挙にいとまがないがいずれにせよ軽装で山に入るには時期的にも微妙だった。
遭難者が出てからでは手遅れだからこそ本部長は我々に原因の調査を命じたのならそれにこたえるのも部下の務めではないだろうか。
「わかりました。相棒と共に現地に赴き原因を調査してみます」
そう応じた途端安堵したのか本部長からの通話は切れた。