【北條紗希】

 

事件捜査中に脳震盪を起こした私はそのまま検査入院することになった。

 

刑事だから危険は覚悟していてもしくじってしまうことはある。

 

「紗希・・無理すんなよ。たまにはゆっくり休めばいいさ」

 

そういう刹那君の顔には拭いきれない不安がにじみ出ていた。

思えば彼には心配ばかりかけてしまっている。

 

「ありがとう・・・そうさせてもらうわ。悪いけど報告書はお願いできる?」

 

刑事の仕事は意外と事務仕事が多かった。

刹那君は報告書の作成は苦手みたいだけど、状況が状況だけに「任せろ」と快く引き受けてくれた。

 

やっぱり持つべきものは相棒ね。

日増しに頼もしくなっていく刹那君の成長ぶりを見てたら私も頑張らねばと思う。

 

結局検査の結果は問題なくて安堵することになったんだけど・・

 

翌日退院の許可が下り、刹那君が迎えにきてくれることになった

タクシーで帰るからいいと言ったんだけど、遠慮するなという刹那君の厚意に甘えることにしたのだ。

 

正直そうしてもらえると助かる。

 

「よお!紗希待たせたな。荷物これだけか?持ってやるよ」

 

随分過保護だこと・・でもありがとう刹那君。