【愛染刹那】

 

一方その頃・・紗希を送り届けた刹那は愛車を運転しながら先ほどの紗希とのやりとりを思い返していた。

 

「綺麗な人ね・・?刹那君の知り合い?」

 

どんな知り合い?どこで知り合ったの?

 

何気なさを装った紗希の言葉にぎくりとする。

勘の良い相棒を持つと難儀する瞬間があるのはこんな時だ。

 

その言葉に他意はなく匂わせてもいないが、どうやら俺は相棒に心配されているようだ。

 

葉子さんと俺が知り合いなのがそれほど意外だったのだろう。

なんといっても人妻だからな。

 

だが知り合ったきっかけをいうことは憚られた。

 

なぜなら俺の素性は紗希には内緒だったからだ。

 

国内でも屈指の優良企業AIZENグループの御曹司だってのを隠すのは先入観で見られたくないからだ。

 

俺は道楽で刑事になったわけじゃない。

 

もちろん紗希はそんな浅慮な女ではないが、エンゲル係数はもちろん生活水準があまりにも違う相棒がいたらお互いに気まずいだろ?

 

なんといっても俺はリアル富豪刑事だからな。

 

実生活における格差が関係に影響することを俺は危ぶんでいたんだ。