【北條紗希】
「先生念のために聞きますが、夢魔と死霊では対処が変わってきますよね?」
幸い霊験あらたかな神社の巫女であり魔女でもある如月先生であれば死霊でも夢魔でも対抗できるだろう。
「そうね・・死霊ならうちの神社でもなんとかなるけど・・夢魔ならばどちらかといえば魔女の領域ね。もちろんどちらのケースでも力になるわよ」
すると思った通り先生は頷いてくれた。
「それはもちろん構わないけど・・・ただこの現象をもたらした相手を見たわけじゃないから断定はできないわね。紗希ちゃんは最近その女に会ったことがあるんでしょう?・・将臣さんから聞いたわよ」
どうやら昔馴染みの誼で纐纈(こうけつ)さんも如月先生に働きかけてくれたらしい。
そうだ・・確かに直近で佐久葉子に面識があるのは私と刹那君だけだった。
保険金を狙った犯行ではないかと疑った纐纈さんは二課の担当者から佐久葉子の情報を得ていたが、直接会ったことはないらしい。
病室で見かけた佐久葉子の姿を思い出す・・
?・・・
その時違和感に思い至る・・彼女の顔が思い出せない!
まるで光線があたったかのように顔の輪郭はもちろん表情も曖昧で混沌としていた・・・
まさか脳震盪の後遺症で相貌失認にでもなったとでもいうのだろうか・・?
そう思えてしまうほど今の私には確かに見たはずの佐久葉子の顔が思い出せないのだった。
そのことを如月先生に正直に打ち明けたら先生は心当たりがあるように頷いた。