【北條紗希】

 

外で待機していた私は纐纈さんらとともに周囲を警戒していた。

 

イヤホンから時折刹那君の声が聞こえたが、相手は葉子さんだ。

 

しかし葉子さんの声は不明瞭でどこか不自然だった。

それに対し刹那君が返事をしたり問いかける声は鮮明だった。

 

どうやらマイクの調子が悪いわけではないらしい

やはり霊障なのだろう・・

 

やがて近所で軽く聞き込みをしていた纐纈さんと新美さんが戻ってきた。

 

「なにかわかりましたか?」

 

聞き漏らすまいとイヤホンに集中しながら問いかけると纐纈さんが応えた。

 

「ああ・・近所づき合いはなかったようだが、数人の使用人が以前はいたそうだが最近は見かけないという話だった」

 

それは気になる情報だった。これだけ広大な屋敷を病院に通い詰めの葉子さん一人で管理できるとも思えない。

 

「だからといって金に困っている様子もないな。葉子は財産の全てを善一のために使っているらしい」

 

続いて経済状態について新美さんが報告した。

 

なんとなくだが今の佐久葉子の置かれた状態が把握できただろうか。

 

以前はいた使用人が現在は姿が見えないという近所の証言からわかったが、彼らが解雇されたまたは辞めたのならば問題ない。

 

しかし本当にそうなのだろうか・・・?