今夜もショーを終えお客様への挨拶周りをしていた私に声がかかった。

 

見ると満面の笑みの店主様がおいでと手まねきしていた。

 

どうやら紹介したい人物がいるらしい

しかも貴賓室よ?なら身分の高い方ね

 

どれどれ・・?どんな方かしら

 

その隣りの人物を見た私は内心の動揺をひっしに隠さねばならなかった。

 

ラムル様!?・・よね?たぶんそうだと思う

 

昨夜は暗かったし顔バレはしていないはずだけど・・

それでもさすがに昨夜ニアミスした相手だけに気まずくてしかたなかった。

 

「はじめまして・・・カマルの舞妖妃です・・どうぞお見知りおきくださいませ」

 

身分の高い方への拝礼をするとラムル様は満更でもないように頷かれた。

 

「そなたの噂は聞いている。今宵の踊りは素晴らしいものだった」

 

よかった・・正体を見破られたわけではなさそうね

 

密偵モードの時はベールで顔を隠してるのはもちろんだけどお気に入りの香水もつけないようにしていた。

 

印象に残るこの白銀の髪も編み込んでベールで覆っているから私と昨夜の密偵を結びつけるものはないはずだわ。

 

堂々としていなければ逆に怪しまれてしまうかも

 

とりあえず平常心を装った私はやはり上機嫌なラムル様とご一緒することになった。