「では・・くれぐれも頼んだぞ」
ラムル様はそれだけ言うと立ち去った。
見送った後私は手の中の密書の筒をまじまじと見つめた。
なぜ私に王へ渡すように言ったのかはわからない。
もしかすると王の放った密偵だと思われたのかもしれないわ。
それともやはり正体を見抜かれたのかもしれない。
うまくまいたつもりだったけれど昨夜尾行をされた可能性はあった。
いずれにせよこれが店主様の命じた密書ならば達成できたということ?
しかし一方で密偵としては複雑だった。・・・密偵としてしくじったのに踊り子として信頼されて密書を託されるなんて・・・もちろん中身を確かめたわけじゃないからこれが本物だとは限らなかった。
けれど・・やはり中を改めるのは危険だった。
店主様に報告しないとダメだけど・・ラムル様は王に渡すように言っていた
もちろん店主様に渡してしまえば仕事は完了となるはずだけど・・
先ほどラムル様が私と話されていたことは大勢の目撃者がいたからだ。
なかには勘繰る者だっているだろう
なによりもラムル様が証人だ
舞妖妃に預けた密書が行方知れずになってしまっては疑いが私に向かうのは確実だった。