女性を喜ばす術は心得ているつもりだ。

 

だから地のサクリアを宿したグリーンオパールのネックレスをアンジュにプレゼントしたのだが・・

 

他の守護聖を牽制する思惑もあったが素直に喜ぶ彼女の笑顔を見て私自身満更でもなかったんだ。

 

アンジュの男性経験がどの程度なのかはかりかねていた頃のささやかな思い出だった。

 

指輪ほど重くもなく意味深でもない慎ましい宝石のネックレスはちょうど良かったのだ。

 

まだ持っていてくれたとは・・・

 

彼女の未練を感じてしまい、複雑な気持ちだった。

 

やはり吹っ切れなかったか・・・罪深いことをしてしまったのかもしれない。

 

別れた女達の心情など考えたことすらなかったが、尊い身であるアンジュを私ごとき身が煩わせるのは本意ではなかった。

 

かけひきを楽しんでいた頃の気安さなど許されるはずもなかったが、女王とてしょせん女なのだとすれば守護聖としてではなく男としてその想いに少しでも報いねばならないだろう。

 

憂いを秘めた目を閉じていてもアンジュが内包する悲しみが伝わってきてしまい良心の呵責を覚えた。

 

アンジュ・・私が悪かった。だから目を覚まして欲しい・・

 

枕元に跪きそう願いながらそっと握り締めた彼女の手の甲に唇を押し当てると周囲の状況が一変した。