アンジュを気に入り放っておけないと思う守護聖は多かったはずだった。
だが彼女は誰も選ばずに一人で行ってしまった。
彼女が本当に同伴を望んでいたのが私だということはわかっていたが、理由をつけて断わってしまったのはやはり大人げなかったかもしれない。
守護聖失格かもしれなかったが、女王候補と女王ではやはり扱いに差が出てしまうのはしかたないだろう。
だからこそ私自身の意志を優先したのだが・・
過去にも女性から指摘されたことがあったが、私という人間は近づけば近づくほど遠ざかってしまう・・と。
表面的な穏やかさを信じて無防備に近づきすぎた私が愚かだった・・と言い去って行ったことも一度や二度ではない。
まさに知らぬが花というやつだ。私の欠点に彼女達は我慢できなかったようだ。
そしてアンジュも傷ついた一人だった。
私との破局や故郷との決別がもたらした悲しみの連鎖は耐え難かったのだろう。
彼女より長く生きている分それらは経験済みだったが、生憎と私にとっては些細なことでしかなかったから苦しみを与えたのが私であっても全ての苦しみを分かち合うことはできなかった。
それでもだ・・それでもやはりこのままアンジュを放置することはできそうになかった。
私にだって心はあるさ