ここで腹の虫がなってしまった。どうやらスタミナ切れのようだ。
味気ない保存食より目の前にある新鮮な卵の方が美味そうだ。
親は留守らしい。ウルルヤックになった気分がするな。
周囲を警戒しながら両手で抱えるほどの卵を拝借してその場から急いで逃げた後、やっとのことで開けた場所に出ることができたようだ。
目の前に広がる砂原の光景に感動を覚えながら満喫した後、さっそく腰を落ち着け焚火を作り卵を高温になった石の上で焼いて食した。
濃厚な黄身も美味いが白身も悪くない。
ふ~美味かったな。
しかし視線を感じて顔をあげると砂の中から魚形のモンスターが顔を出していた。
デルクスと呼ばれるモンスターでシャナーサの砂漠でも見かける種だった。
肝が珍味なんだ。
腰にさした鞭を掴み掬うようにふるとデルクスが飛び出してきた。
麻痺属性と雷属性を秘めた鞭だ。
我が国固有種の巨大な蛇型の古龍種の落とし物から作り上げた鞭であり代々の王に受け継がれてきた実用的な武器だった。
シャナーサでは王子の頃に勇敢さを試すためにその古龍種に挑み、鱗を持ち帰るのが伝統になっていた。
稲光をまとった蛇の古龍種の鱗だけにその威力は高い。
一撃で気絶したデルクスの肝を短剣で切りとり手ごろな枝に差してあぶって食べた。
ああ・・やはり美味い。だがその僅かな血の匂いを嗅ぎ取ったらしい群れが押し寄せてきたようだ。
共食いするとはな。
だが少しも無駄にせずにこの砂漠の美しさは保たれているのだ。
食べ残した分は全て彼らの糧となる。まさに自然の摂理といえた。