私を先に逃がしたシリーンはその場に留まり事態の収拾を試みた。
ハンターとしての彼女を見る機会に恵まれたようだ。
本来なら私も加勢すべきだろうが、お手並み拝見だった。
少し離れた高台から彼女の活躍を見守ることにした。
あれが操竜か・・すごい技だ。
カムラの里に伝わるという操竜の技でボルボロスを操りリオレイアに拮抗する様は見ものだ。
大技を決めた後、ボルボロスの背を蹴り舞い降りる姿はまさに天女のごとく美しさだった。
無事撃退できたが今度はボルボロスとの戦闘へと切り替わってしまった。
間髪入れずに双剣を構えて華麗に舞いながら果敢に切りつける雄姿は鬼神のごとくながら異国の女神のように妖艶なものだった。
一瞬で心を奪われそうになる・・誘惑の舞だ。
やがて戦意を喪失したモンスターが去り、私も戻ることにした。
貴重なモンスターの落とし物の回収に余念がないシリーンに声をかけると、彼女が眩しそうに目を細めた。
こうしてみると先ほどの姿が幻だったのだと思えてならないほど麗しい女だった。
やはり妻に迎えたい女は彼女だけだ。
美人だが高飛車なところは一切なく親しみやすいいい女だった。
泥でまみれていても美しさは変わりないぞ。
労働で流した汗も美しい・・好ましい姿だったが、年頃の娘らしく恥じらいも持ち合わせていたようだ。