こうして私達はキャンプ地に戻り玉で無事帰還することができた。

 

今後は私も戻り玉の携行を考えてみるかな。調合自体は簡単そうだ。

 

民を背負う身としてはあまりにも軽率だったと反省していると、留守番のアイルーが目敏くシリーンに気づき駆け寄ってきた。

 

「お帰りなさいニャ・・旦那さん!お魚いっぱい釣ったニャよ?やればできる子ニャ」

 

こいつがライラか・・表情が豊かでなかなか愛らしいアイルーだった。

 

アイルーの持つバケツの中で魚がビチビチと跳ねている。

 

今夜の夕飯は魚だとシリーンが言っていたことを思い出す。

 

何匹かはこいつの腹に収まったかもしれないが、きちんと命令を遂行したようだ。

 

シリーンも深くは追及せずにいい子いい子撫でている。

 

「ありがとう・・ライラ。さすが私のオトモだわ・・ガルクもリーシャもねみんな最高よ」

 

気づいたらいつの間にか近くの木に一匹の猛禽がとまっていた。

フクズクというカムラの里で珍重されている伝書鳥だった。

 

三匹もお供を従えているがこの地のハンターはこのスタイルが一般的らしい。

 

装備の開発はもちろん彼らの食糧や世話もハンターが担わなくてはならない。

 

収入よりも支出が多くなり生活がカツカツな者などざらだった。

 

訓練できるオトモ広場も常設されてはいるがそちらも金かポイントで支払わなければならない。フィールドでは戦闘不能になったハンターを回収する緊急避難を使命としたアイルーもいると聞くが報酬額が減額するのはそのためという噂までまことしやかにあるようだ。

 

踊り子の方がもっと稼ぎが良かっただろうにな・・

ミノトの話では姉のヒノエの歌を聞き感動したシリーンがお礼に舞いを披露したことがあったそうだが、彼女の踊りは金を得てしかるべき踊りだ・・だが今ではその踊りも封印してハンターとして活躍しているらしい。

 

アリ家からの仕送りもないというからまさにハンターだけで生計を立てているのだとすればその苦労はうかがい知れないな。