まだ若い娘が異国の地で奮闘している様に感動を覚えたが、シリーンからは悲壮感が漂うことはない。

 

「う~~お腹空いたわ。じゃあお魚を焼くわね・・任せておいて魚焼きは得意よ。ルトも席について待っていて」

 

ゲストとして扱ってくれるらしいが・・さてどうしたものかな。

 

魚を焼く準備をするシリーンに手伝いを申し出たら彼女は驚いたようだったが、嬉しそうに頷いた。

 

手際よく魚をさばき携帯していた塩を振り途中で摘んだ香草を詰めて焼くとやがて食欲をそそる香ばしい香りが立ち上ってきた。

 

こんがり焼けました~~!!

 

いい仕事ができたようだ。さて、遠慮なくいただくか。

 

「料理ができる男っていいわね・・美味しそう」

 

シリーンも満更ではないようだ。

 

もちろん宮殿では料理はしないが、各地を遊学中に覚えたものだった。

 

それからは無言で魚にかぶりつく。空腹に染みわたる味だった。

 

ハンターだけに肝が据わってる女だから見知らぬ男と一つ屋根の下にいても平気なようだ。全ての出会いは一期一会と割り切っているのかもしれない。

 

私は彼女の出自も身分も承知しているが、もし見知らぬ女だったらここまで打ち解けたかはわからない。

 

しょせん行きずりだと思ったはずだ。

 

シリーンへの興味は尽きないが今回はここまでだった。

こちらから身分を明かす気はないし、せっかくの出会いを台無しにしたくなかった。

 

私達の甘い雰囲気を察したのかライラが悪戯をしかけてきたが、あえて気づかぬふりをした。

 

ライラ・・私とシリーンの絆の証を託したぞ・・

 

満天の星空の下で無粋な真似はできそうになかった。