帰国の為の準備をする傍ら用意してあったものを携え雑貨屋のカゲロウを訪ねた。
こちらの身分は明かさなかったが聡明な男だけに勘付いているかもしれない。
鉱山王の私にすればささやかな贈り物だったが、時価数千万の価値はあるテロメアーナのネックレスだった。一介のハンターがつけるには高価かもしれないが、彼女に相応しい一級品だった。
「これをシリーンに手渡して欲しい」
「ほう・・これはこれは素晴らしい品ですね。おみそれしました」
目利きに自信があるのか、カゲロウは感心したようだったがやはり表情はベールに隠れて見えない。
シリーンのためだけに作らせた一点ものだった。鑑定書とともに預けるとカゲロウは「確かに承りました」と恭しく会釈した。
私が去った後彼女に渡す手はずだ。
カゲロウのことは信頼していた。誇り高い竜神族の男だ・・愚かな真似はしないだろう。
宝石一つで女の歓心を買かえるとは思ってはいない。
だが過酷なハンター生活を送る彼女へのささやかな贈り物だと思えば悪い気はしないだろう?
だからぜひ気負わずに身に着けてくれ。くれぐれも転売はしないでくれよ?
