「今日お会いしたのはハンターを辞める気はないってお伝えしたかったのとお返ししなければならないものを預かっていたからです」
返事は先延ばしにしつつ預かっていた印籠を差し出す。
するとライザール様がフッと微笑まれた。
「ああ・・やはり上手くいったようだな。実を言うとこれをお前の手に渡るように計らったのは私なのだ」
――ええ!?なんですって?
「お前のオトモのライラが興味を持つようにマタタビの香りがついたこれを利用しようと思ったのだ。あの日モンスターから逃げる途中落した荷物の中にマタタビもあったからな」
なるほどそういうこと。
私達ハンターにとっては常識だけど狩場に出没するノラメラルーは手癖が悪いため貴重なアイテムの盗難防止にマタタビを持ち歩くのが鉄則だった。なくさないように肌身離さずもっていた印籠だけは手元に残ったのだろう。
だけどそのマタタビを落としてしまったことで金目のものに目がないうちの子がお目当ての印籠をとってしまったわけだけど、印籠にマタタビの残り香があることに気づいたライザール様がそう仕向けたからだわ。
つまり・・私はまんまと貴方にはめられたというわけね。
まさにライラが結んだ不思議な縁だわ