※ライザ視点です
――貴方を見てるとジェミルのこと思い出しますわ・・
それはシリーンの声だった。
警戒しながらも彼女が私に親近感を持ったのも今となっては理解できた。
恐らく似ているのだろう・・私とジェミルは・・
もしかしたらジェミルにも私と同じ皮膚疾患が顕著に見受けられたのかもしれない。
人生に突然息子と昔の女が現れたらなんて考えたこともなかった。
彼女をどうすべきか迷ってしまう・・・
誤解は解けるだろうが、彼女は落胆するだろうか
恐らく敵と協力関係にあったジェミルが彼女の世話をしてきたのだろう。
このままそ知らぬふりでいても彼女の安全は図れるのかもしれない。
幾度も再会を夢見た運命の女を前に葛藤する。
私はしがない王の密偵で暗殺者なんだ・・いつ命を落とすかもわからない。
この技を子々孫々伝授する気はなかったし、家族とはすなわち弱点にもなり得る存在だった。
もしジェミルが私の息子なのであれば、頼もしく思う反面、私と同じ暗殺者になってしまったことが残念でならない。
私は王に忠義を誓ったが、ジェミルに主はおそらくいないだろう・・
王の女であるシリーンに片思いしている初心な青年である一方、修羅場を潜り抜けた無慈悲な暗殺者でもある彼をこの私が息子などと気安く呼べるものか。