※ライザール視点です
何度目かの快楽の果てをへる頃には互いの肌は濃密な芳香を放ちしとどに濡れて熱を発していた。
やがて正気付いたのかシリーンがまじまじと私を見つめながら言った。
「ライザール・・・さま?・・・・私・・・」
――!
「気づいたかシリーン・・よかった」
抱きしめると腕の中で彼女が小さく震えた。まだ余韻があるのだろう・・
だがその素肌からはタトゥーはすっかりと消え去っていた。
それに気づいたのかシリーンの目からすっと涙の雫が零れ落ちた。
「タトゥーが消えてる・・・信じられない・・・やったわ!私ついにやったみたい!ありがとう!ライザール様!貴方のおかげよ」
喜ぶシリーンと抱擁を交わしているとドアが開く音がした。
振り向くとワゴンを押したジェミルがこちらにやってくるのが見えた。
状況がわからず困惑するシリーンの肩に布団をかけてやると、安堵したようにまといなおした。慎みのある女は嫌いじゃない。
「いちゃつくのもたいがいにしろっての・・さっさと腕を出せ、血を貰うぜ」
採血用の注射をちらつかせる横柄なジェミルの物言いにもシリーンは動じなかった。
「無事だったのね!ジェミル・・」
それどころか無鉄砲な「弟」を心配していたようだ。
いささかの気まずさはあってもジェミルへの信頼は揺らがないようだ。
シリーンを「女」としてしか見ない男だけに私としては面白くないがな・・・