※ライザール視点です
この国の物ではない建築様式の室内は薄闇に満たされていた。
その中央に設えられた寝台に求める女は眠っているようだった。
――シリーン・・・!
周囲に人の気配はなかった。
!?だが視線は感じる・・・目線をあげると二階の回廊部分に部屋があるようだった。だが鏡面仕立てで中は見通せない。
今はどうでもいい・・ともかくシリーンを助けねば・・
足を忍ばせながら素早く近づき甘く薫るシリーンの身体を抱き上げた時、長いまつ毛に縁どられた目がゆっくりと開いた。
ごくり・・と喉が鳴る。
蠱惑的な蜂蜜色の瞳には欲望が灯っていた。
私の前にいるのは確かに男の欲望を煽り悩殺するカマルの妖艶な踊り子舞妖妃そのものだった。
視線が絡み世界が煽情的なアルジル色に染まった瞬間、私は彼女の虜になった。
動悸が激しくなり血が沸騰するかのような高ぶりを感じる。
濃密な芳香を放つ花の蜜を味わい尽くしたくてたまらなかった。
シリーンの素肌が柔らかな月光の中で淡い光を放っているようだった。
その胸や腹には禍々しいシンボルが異彩を放っており抗うことなどできない甘美な誘惑だった。