※店主視点です

 

一方その頃・・

 

数年ぶりに対峙する師と弟子の姿があった。

 

「やあ・・思っていたよりも元気そうだアイーシャ」

 

離反の歳月などなかったかのように気安く声をかけた私は、不安を押し隠し艶然と微笑む不肖の弟子を見た。

 

もともと才能がなかったものの、どん欲なまでの果てのない美と若さへの欲求をこじらせたアイーシャだが、この数年でさらによどみ今では完全に闇落ちしていた。

 

無理もない・・彼女は他者に幾度も犠牲を強いてしまった。派手にやりすぎたのだ。蓄積した恨みつらみはいずれ術者に返る。強い愛情が反転して強い憎悪になりその反動は計り知れない。

 

ショールで隠した両腕がまとうのは拭うこともできない犠牲者たちの怨嗟だ。

 

私も血の効力が途切れたら老化してしまうが、それとは明らかに違う禍々しいものだった。

 

かつて私のやり方が生ぬるいと彼女は嘲笑したが、今になってこうして危険を承知で接触をはかるのは原点回帰を目論んだからだろう・・・

 

どちらがより効果を得ているかなど一目瞭然だ。

 

時間がかかっても対象の理解を得たうえで自己犠牲の精神で貢がせることがなによりも重要だった。私にも昔は仮初の信奉者がいたが、しょせん仮初でしかない。

 

これほどまでに深い縁を結んだのはシリーンが初めてだった。

 

私とシリーンの関係は良好で信頼関係にあり、家族としての情もある。

 

 

だからこそあの娘は惜しみのない献身をしてくれるのだ。